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サンウソメインのONE PIECE二次創作ブログです。
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2025/05/24 (Sat) 16:38
Posted by 夢月
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2011/06/30 (Thu) 22:13
Posted by 夢月
前回の続きです。
なんかすごく甘くなった・・・・かな??
問題は解決しますが、まだ終わりません(笑)
次で終わる予定ですので、もうしばらくお付き合いください。

そして、拍手ぽちぽちありがとうございますm(_ _)m
続きも頑張って書きます!








「診断結果から言うと、逆行性全生活史健忘。一般的に記憶喪失って呼ばれる症状だ」
チョッパーによるウソップの診察が終わって、診察中は外に追いやられていた全員が再び男部屋に集まった。
「ただ、全部忘れてしまったんじゃなくて、サンジに関連する事だけ覚えてるみたい」
ベッドに起き上がったウソップはおれの手を握って離さないので、診察中もずっとそばについていた。
「ねぇチョッパー、それって具体的にどういう事なの?」
「今のウソップの記憶は、サンジの事が中心になってるんだ。たぶん、二人の名前を言ってみてもらうのが、みんなには一番分かり易いと思うんだけど・・・」
「私達の?」
「どういう事かしら?」
チョッパーに指を指されて首を傾げるお二人。
ウソップ、とチョッパーが促すと、ウソップは恐る恐る口を開いた。
「ナミさんと」
「!!??」
「ロビンちゃん」
「あら、新鮮ね」
絶句するナミさんの隣で楽しそうに微笑むロビンちゃん。
「ちょっとロビン楽しまないでよ!!ウソップ!私達の事は呼び捨てにしなさい、いーい!?」
ナミさんの剣幕に、コクコクと必死に頷くウソップ。
「つまり彼は、私達の事は思い出せないけれど、サンジが私達をどう呼んでいたかは思い出せるって事の様ね」
「・・・・・サンジくん中心って意味、よく分かったわ」
少しお疲れになった様子で、ナミさんが呟いた。
「で、ウソップは元に戻るのか?」
毬藻が先を促す。
「普通は、忘れてしまった記憶もだんだん思い出してくる事が多いんだけど、全部思い出せることは少ないんだ。でも、ウソップの記憶喪失の原因はこれだったから、全部思い出せるかもしれないよ」
チョッパーが取り出したのは、ウソップが食べていた青い実。
「これは、ブルーベリー?」
ロビンちゃんが手に取る。
「見た目じゃ判別するのは難しいくらいよく似てるんだけど、これはブルーリーって言って忘却作用のある実なんだ。これの成分を分析して中和剤を作れば・・・」
「ウソップの記憶は戻るんだな」
これまでおとなしく聞いていたルフィが口を開いた。
「うん!!」
チョッパーの力強い返事に、全員が胸を撫で下ろす。
「ただ・・・・」
しかしチョッパーは言い難そうに説明を続けた。
「ブルーリーの忘却作用は、記憶以外にも作用するんだ」
「記憶以外に忘れるものなんてあんのか?」
ルフィが首をひねりながら尋ねる。
「感情だよ。今のところ、ウソップが忘れてるって分かった感情は、羞恥心」
「しゅうちしん??」
「照れたり、恥ずかしいって思う感情だよ」
「あぁ、だからなのね・・・・」
ロビンちゃんが納得したご様子でおれたちに微笑む。
「いくら記憶が無くて不安とはいえ、照れ屋の彼が恋人にべったりなんて」
ロビンちゃんの言葉に、その場にいる全員からなんとも言い難い視線を受けるが、唯一分かっていなかったチョッパーだけが首を傾げた。
「??恋人ってつがいの事だろ??人間はオス同士でもつがいになるのか??」
その見た目とは少しギャップのあるもの言いに、微妙な空気が流れる。
トナカイであるチョッパーには、色恋以前に人間の愛のなんたるかが分かってなかったか・・・。
ここは今後のためにもしっかりと教えておかねェとな。
「・・・いいかチョッパー。人が人を愛するのに、性別なんて些細な事だ。例えおれが全世界のレディを讃え、敬っていようとも、愛しているのはウソップ唯一人。なぜならそう、恋はハリケーン・・・!!」
「チョッパー、めんどくさいからとりあえず同意しておいて」
「え?うん・・・?わ、わかったよ!サンジ!」
おれの熱弁中になにやらナミさんに耳打ちされて、チョッパーが大きく頷いた。
何を仰られたのかは分からなかったが、きっと協力して下さったに違いない!
ありがとうナミさん!!
「サンジ」
ナミさんの優しさに感激していたら、ウソップがおれの服の裾を引っ張った。
「ん?」
「そんな風に言ってもらえて、なんかおれ嬉しい」
「ウソップ・・・!」
本当に嬉しそうに笑うウソップに、おれはすっかり舞い上がる。
『このアホ眉毛が・・・』
やたらはっきり聞こえた悪口に普段なら言い返すところだが、今のおれにはウソップから目を逸らすなんて考えられないので、アホ毬藻のアホ発言には無視を決め込んだ。


ウソップの中和剤ができるまでは原因の物があるこの島から離れられないということで、しばらくの間留まることになったが、島の近くに船を停泊させるとログが上書きされる恐れがあり、今、サニー号は島の沖合いに停泊している。
チョッパーが医療室に篭っている以外は、一見いつも通りのサニー号。
ウソップも、元から他人と打ち解けるのが早いヤツだから、戸惑いつつもあまり変わらない様子で過ごしている。
ただ、やはりおれの記憶しかない為か、それとも羞恥心がなくなって自分の気持ちに正直に行動している所為か、前よりもおれの傍にいる。
『サンジ』
そして、おれの名前をよく呼ぶようになった。
「ん?なんだ?」
振り向こうとすると、後ろからウソップが抱きつく。
「好きだぞ、サンジ」
「おれも好きだ」
「えへへ」
ウソップは嬉しそうに笑いながら腕を緩める。
振り向くと、ウソップが背伸びをしながら目を閉じた。
それに合わせておれも顔を傾けながら目を閉じる。
『ちゅ』
唇の触れ合う音を聞きながら今度はおれから抱きしめると、ウソップもそれに応えて抱きしめ返す。
何度かバードキスを交わしてから唇を離したら、ウソップは甘えるようにおれの肩に顔を埋めた。
こんな時に不謹慎だとは思うが、今まで堪能する事のできなかったいかにも恋人らしい時間がたまらなく嬉しくて、おれはウソップのぬくもりと共に幸せを噛み締めていた。


『虫刺されの薬持ってきたぞ』
チョッパーが医療室からダイニングに入ってきた。
「虫刺されの薬?」
「サンジ、食材採ってる時に刺されたって言ってただろ?」
「ああ・・・」
そう言えばそうだった。
普段ならスーツのままなんだが、珍しく半袖で島に上陸したから腕を虫に刺された事をすっかり忘れていた。
「ありがとな」
「お、お礼なんか言われても嬉しくねーぞ、コノヤロが!」
礼を言いながら受け取ると、いつもの言葉と踊りを披露するチョッパー。
「あれ?ウソップは?」
踊りの途中でウソップがおれの傍にいないことに気付き、そのままのポーズで首を傾げる。
「ああ、今外でルフィと釣りしてる」
「そっか・・・!」
記憶が無くても変わらず過ごしているウソップに安心したのか、チョッパーは嬉しそうに笑った。
「じゃあおれ、中和剤作りに戻るよ」
「おい、戻るならコレ持って行け。今日のおやつだ」
「え!いいのか!?」
目をキラキラさせるチョッパーに、たっぷりとメープルシロップをかけてジャムとバニラアイスを添えたパンケーキを渡す。
「うおー!すげー!!」
「頑張ってくれてるから特別仕様な。他のヤローには言うんじゃねェぞ」
「わかった、誰にも言わないよ!ありがとなサンジ。おれ、少しでも早く薬を完成させるよ!」
チョッパーは声を弾ませながら言うとパンケーキの乗った皿を受け取る。
「おう、頼んだぜ。ドクターチョッパー」
「ド、ドクターなんて言われても嬉しくねーぞ!コノヤロが!」
皿を持ったまま器用に本日二度目の踊りをして、「よーし頑張るぞ!」と、気合の入った様子で医療室に戻って行った。
「はぁ・・・」
チョッパーにはああ言ったものの、正直心境は複雑だった。
中和剤が出来るのを待ち望んでいるのも本心だが、記憶が戻れば同時に羞恥心も戻り、今のウソップではなくなる。
それが唯一にして最大の未練なのだが、これは完全におれの独り善がりだ。
記憶が無い事が後々どんな影響を及ぼすかもわからない。
ウソップの事を考えるなら、記憶を戻す手段があるのだから戻すべきで、それは充分わかっている。
それでも。
「クソ切ねェなぁ・・・」
中和剤が完成すれば、もう二度とこんなウソップはお目にかかれないだろう。
今のこの状態はひとときの夢なのだ。
そう思うしかないし、そうでしかない事も重々承知していたが、それでも惜しむことはやめられなかった。


騒がしいおやつが終わり、黙々と後片付けをしているとフランキーがダイニングに入ってきた。
『よく寝てるみてェだな』
そう呟いたフランキーの視線の先には、ソファで眠っているウソップ。
「チョッパーの話だと、記憶喪失の影響で疲れ易くなってるんだと」
「まぁ、コイツにしてみりゃ、慣れねェ環境にいきなり放り込まれた様なモンだしな。一見いつもと変わらねぇように見えるが、色々大変なんだろう」
納得した様子でウソップを見つめるフランキー。
「ん・・・」
ちょうど目を覚ましたウソップが、少しぼんやりした様子で起き上がった。
「よう、お目覚めか?」
「・・・えっと、フランキー?」
「おう、このおれの名前は覚えた様だな。なんなら今まで通り、アニキって呼んでくれて構わねェぜ」
「あ、うん。じゃあ・・・」
「こぉんのクソロボ野郎!記憶が無いのを良い事にでたらめ教えてんじゃねェぞっ!!」
ウソップが納得する前に、得意気に言ったフランキーの背中を思い切り蹴る。
「痛ぇ!!!背中は生身だっつってんだろっ!!」
ぼんやりしていたウソップはおれたちのやりとりに目を剥くと、次の瞬間声を上げて笑った。


夕食後、おれとウソップはキッチンで皿洗い。
皿洗いはいつも二人でやっていたので記憶があるらしく、ウソップはほら話をしながらいつも通りにこなしている。
『サンジくんの一方通行じゃなかったのね』
「へ!?」
ダイニングで紅茶を飲んでいたナミさんの突然の言葉に、不覚にもうろたえてしまった。
「だって、サンジくんの事だけ覚えてるなんて、愛じゃない?それにいくら羞恥心を忘れたとはいえ、サンジくんにべったりだし」
からかっておられるのか、おれにぴったり寄り添うウソップを見てナミさんは不敵な笑みを浮かべる。
「いや、それは、記憶が無いから、不安なんでしょう。な?ウソップ?」
今のおれはナミさんにだって惚気たいくらいなのだが、なぜだか変に照れてしまった。
「んー、不安とか、あんまりないぞ?みんなの事もなんとなくなら思い出してきたし、それに」
本当に不安は感じていないらしく、ウソップは聞き慣れた口調で話す。
『おれ、出来る限りサンジの側にいたいんだ』
「ウソップ・・・!」
嬉しさのあまりウソップをぎゅっと抱きしめると、サンジ、と嬉しそうな声音でウソップがおれの名を呼び、その腕がおれの背中に回る。
「はいはい、ごちそうさま」
ナミさんの声の後に、『パタン』と扉の閉まる音がした。



『早く起きろよ、サンジ・・・・・』
「・・・ウソップ?」
目を開けると、ウソップがおれの手を握っていた。
『サンジ』
「どうした?眠れないのか?」
不安そうなウソップを安心させてやりたくて、出来るだけ優しく尋ねる。
『サンジ』
それでも不安そうにおれの名を呼び続けるウソップに、胸騒ぎを感じる。
「ウソップ?」
『サンジ、ごめんっ・・・・』
ぽたりとおれの頬に落ちた、ウソップの涙。
「なっ・・・!?どうしたんだウソッ、プ・・・!?」
ウソップの頬を伝う涙を拭いたくて手を伸ばそうとするが、手がピクリとも動かない。
『おれのせいで、こんな事になるなんて』
「ウソップ?どういう事だ・・・?」
手を動かすどころか起き上がることもできず、おれはウソップに尋ねる事しかできない。
『おれ、サンジのためだったらなんでもする・・・!』
「ウソップ!!」
唯一の手段である言葉すら聞こえていないようなウソップの様子に、焦りと共に異様な違和感を覚える。
『ちゃんと好きって言う。キスだってする。もうみんなに、おれたちが付き合ってるって言っても良いからっ・・・』
ウソップは何を言ってるんだ?
今のおまえはおれに好きって言うし。
キスしても照れ隠しに怒らねェ。
みんなにだって、もうバレてる。
『だから・・・!』
涙を流して必死に訴えるウソップ。
この涙を止めてやりたいのに、おれの言葉は届かない。
焦りばかりが募る。
どうすればいいんだ・・・!?

『早く目を覚ましてくれよ・・・。サンジ・・・っ!』



その声が聞こえた途端、目の前が真っ暗になった。
何か言おうとするが、とうとう声すら出なくなっている。
体は動かない。
声も出ない。
分かるのは、おれの手を握るウソップの手の温度と、頬に零れ続ける涙の感触、そして、ウソップの泣き声だけ。
目を開けて、涙を拭って、大丈夫だと言ってやりたい。
安心させてやりたい。
好きだと言ってくれなくても。
キスして怒っても。
バレるのが恥ずかしいと言われても。
泣かれるよりずっと良い。
オマエはバカみたいに笑ってる方が似合ってる。
どうにかしようと、おれはもう一度声を出すために息を吐いた。

『・・・・・ぅ』
微かにだが、声が出る。
『サンジ・・・?』
今度は手に力を込めると、少しだけ指が動いた。
『サンジ!!』
そして、目を、開く。




「なに泣いてるんだよ、ウソップ・・・」
目の前には、涙やら鼻水やらで大洪水のウソップの顔。
「お・・・!お前のせいだろっ・・・!!サンジのあほぉ・・・・・っ」
ぼろぼろと零れ落ちる涙を、今度こそこの手で拭う。
「そりゃあ、悪かったな。とりあえず、もう泣くな」
言いながら眦に唇を落とすと、ぎゅっとウソップに抱きつかれた。
「サンジっ・・・・」
肩口に顔を埋めて泣き続けるウソップを、おれも抱きしめる。
「泣くなっつってんのに・・・」
「そんなっ、急に、泣き止めるかぁ・・・!」
ちっとも泣き止む様子の無いウソップをあやすように、おれは背中を撫で続けた。

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