サンウソメインのONE PIECE二次創作ブログです。
いいわけで書いてた、ウソップ記憶喪失話。
記憶喪失ネタってシリアスっぽいですが、個人的にはあんまりシリアスじゃないつもり。
サンウソメインのオールキャラです。
そして!
拍手ぽちぽちありがとうございますm(_ _)m
励みになります。
続きも頑張って書いてるので、気長に待って頂けると嬉しいです。
「・・・どうした?しっかりしろ!オイ!!」
その声を最後に、おれの意識は途絶えた。
ダイニングで話していたら、突然ウソップが倒れた。
「今のところ、ただ寝てるだけとしか言えないし、原因もわからないんだ」
最初はチョッパーの医療室に運んだが、今はフランキーが男部屋にものの数秒で作ったベッドで寝ている。
「でも、この島に来てから何かあった。それは間違いと思う。だから・・・」
たまたま見つけた無人島。
危険は無いと判断して思い思いに過ごしていたが、今は全員が男部屋に集まっている。
「おれも途中までは一緒にいたけど、別れてからのウソップの様子を聞かせて欲しいんだ、サンジ」
「ああ、わかった」
ログポースの指し示す先ではないが、偶然見つけた無人島。
冒険好きの船長の命令で寄ることになったその島はジャングル状態で、おれはウソップとチョッパーを連れて食材探しに船を下りた。
チョッパーの鼻とおれの舌で食べられるかどうかを判断し、ある程度判断できた所で、薬になる植物を探したいというチョッパーと別れて、おれとウソップで収穫を始めた。
話すのはそこからだ。
「とは言っても、話せることはほとんどねェんだ。食えると判断した物だけ採って、サニー号に帰ってきたらウソップが倒れた。唯一心当たりがあるとすれば、コイツが採りながら食ってたこの島の果物くらいだが・・・」
「・・・・!」
俺の言葉にチョッパーの瞳が揺れた。
当たり前だ。
おれとチョッパーが『安全だ』と判断した物が原因かもしれないのだから。
「おれ、ウソップが食べたもの、詳しく調べてみる。サンジ、ウソップが食べたもの覚えてるか?」
「ああ。キッチンにあるから取って来る」
「おれも行くよ!」
「じゃあ、何かあれば知らせるわ」
だからこっちはまかせて、と、ロビンちゃんが微笑んだ。
「これと、これ。あとこれも食ってたな・・・」
ウソップの食べていた青い実を手に取る。
『うお!これうめェぞサンジ!!』
幸せそうに笑ってたウソップ。
『あんまり食いすぎるとおやつ食えなくなるぞ』
『ちっちっち。サンジくん、知らんのかね?おやつは別腹なのだよ!!』
『そーかい』
その笑顔にほだされてつまみ食いを許してしまった自分が今は恨めしい。
「おれが、もっとちゃんと調べてれば、こんな事にはならなかったのかな・・・?」
チョッパーがポツリと呟く。
「チョッパー、今のあいつをなんとか出来るのはお前だけだ。頼りにしてる」
言いながら、ピンクの帽子をぽんと叩いた。
「・・・!うん!!おれ、がんばるよ!!!」
ウソップが食べた果物を持って勢い良く立ち上がるチョッパー。
そのままドアへと駆けて行く。
「あれ?サンジは戻らないのか??」
「ああ、おれはメシの準備だ」
おやつの時間はとっくに過ぎて、もう日が傾いていた。
元々食材には困っていなかったので、船に積んでいた物で夕飯の献立を考え、下準備を始める。
「・・・・クソっ。またやっちまった」
手には皮が半分残ったままのじゃがいも。
剥ききる前に皮が切れてしまった。
集中しようとしているが、ウソップの事ばかり思い出す。
とにかく落ち着こうと、包丁を置きタバコに火を点けた。
『おいウソップ、おいてくぞ』
呆れつつ煙を吐き出す。
『サ、サンジ君・・・・。休憩しませんか・・・・?』
『まだ来た道の半分も戻ってねぇだろうが』
『おれの体力のなさを舐めんな!!』
『胸張って言うな!』
サニー号への帰り道。
歩くペースがだんだんと遅くなったウソップがやや後方で「休憩!」と騒ぎ出した。
『なぁ~、サンジぃ~~』
『・・・・・・・・ったく、少しだけだぞ』
一応仕方なくという呈で了承したが、本当はやぶさかでない。
恋人との二人きりの時間を少しでも長く味わいたいと思うのは当然だろう。
船の上だとプライバシーは無いに等しい上に、陸の上でも二人きりになれる事は多くない。
せいぜい食材の買出しに付き合わせるので精一杯だ。
『あ~、疲れたぁ~』
・・・コイツにはそんな考えは全く無いようだが。
大体「恋人である事は絶対秘密」なんて事を言うから困る。
それでもウソップの頼みだから、一応みんなの前ではそれらしい事はしないようにしているが、少なくとも、おれがウソップをそういう意味で好きな事はすでにほぼ全員に知られている。
秘密と言われ一応それに従っているのは恋人になってからだから、鈍感なやつらには恋人になる以前の言動でとっくに知れてるし、いくら隠していても察しの良い年長者には気付かれる。
レディは恋愛ごとに鋭いものなので、結局きちんとした意味で分かってないのはチョッパーくらいだろう。
気に食わないのは、普段下手な嘘しかつけない嘘つきが、おれへの気持ちを完璧に隠せている事だ。
その隠しっぷりは恋人になる前からで、おれからのアプローチに全く反応が無いウソップに、色々と限界を感じてした告白。
その返事で「おれも」と言われて心底驚いた。
それほど巧妙だった。
それを忘れてというか、舞い上がっててうっかり「絶対秘密」に同意してしまったのだが、恋人同士になろうともウソップの完璧な隠しっぷりは健在。
正直、そろそろ堂々としたいものだが・・・・。
『・・・・ぷはぁ!生き返るぅ~』
おれの気も知らず、のんきに水筒の水を飲むウソップ。
『サンジも飲むか??』
尋ねる仕草に、色恋の雰囲気ゼロ。
『結構だ』
折角二人っきりなのに、デートらしさは欠片もない。
よし、こっちの気も知らないでピクニック気分のウソップに、少しはおれの愛を思い知らせてやるか。
『おいウソップ』
『ん?やっぱ飲むか?』
おれの呼びかけに答えて振り向いた瞬間。
ちゅ
『ごちそうさん』
掠め取るように唇を合わせた。
『あ、あああ、あほサンジ!外でそういう事すんな!!』
あっという間に顔を真っ赤にして怒るウソップ。
『誰もいねェんだし、んな照れんなよ。いつまで経っても慣れねェなオマエは。そんなとこもクソ愛してるぞ』
ぷかりとハート型の煙を吐き出す。
『んな・・・・っ!!!お、おまえどれだけポジティブだ!コレは怒ってんの!!』
おれが何かすればすぐ照れるウソップは、照れ隠しに怒る。
早く慣れて欲しいものだが、この姿もクソ可愛いのでこのままでいて欲しい気持ちも半分。
しかし、こう照れる度に怒られるとなかなか先に進めないので、せめて怒らないようになって欲しいという気持ちも半分。
贅沢な悩みだ。
『あ~、抱きしめてぐりぐりしてェ~』
『人の話を聞けー!!』
『さ、そろそろサニー号に戻るか』
『だから話を聞けっての!!』
ウソップの賑やかな声を聞きながら、おれは短くなったタバコをもみ消した。
火の消えたタバコを、ウソップから貰った携帯灰皿に捨てる。
結局、一服してる間もウソップの事を思い出していただけだった。
「あー、だめだ。全然集中できそうにねェ・・・」
うなだれていたら突然肩を叩かれた。
「!?」
振り向くと、背から伸びたロビンちゃんの手が男部屋を指差している。
「ありがとうロビンちゃん!」
ウソップ・・・!
全速力で男部屋に向かいそのままの勢いでドアを開けると、全員の視線がおれに向いた。
「サンジ・・・」
半泣きになったチョッパーの側に、ベッドの上に起き上がったウソップ。
だが、雰囲気がおかしい。
ウソップが起き上がっているのに、みんなは喜んでいるというより戸惑っているような顔だし、当のウソップはなんだかぽかんとしている。
慌ててベッドサイドに駆け寄り、ベッドに手をつき体を屈め、ウソップの顔を覗き込む。
「ウソップ・・・?」
おれが名を呼ぶと、はっとした様におれを見つめ。
「サンジ」
おれにすら滅多に見せない、でも、おれにしかしないクソ可愛い笑顔でおれの名を呼び、しっかりとおれに抱きついた。
「!!!???」
普段のウソップならありえない行動に動揺しつつも、その背にちゃっかりと腕を回す。
「ウウウウソップ。ど、どうした・・・??い、良いのかっ?こ、こ、こんな、事、して」
突然降って湧いた幸せはしっかり掴んだが、動揺はちっとも収まらず、話せばどもるしこの状況のフォローも全く出来そうにない。
「??良いに決まってるだろ?おれ達、付き合ってるんだから」
ぴしりと、場の空気が凍りついたのは感じ取ったが、小首を傾げ微笑むウソップと、そのウソップの口から出た発言に色んな感情が湧き上がって、情けないがもういっぱいいっぱいだ。
「ウソップ・・・!!」
まさかおまえの口からみんなに宣言する日が来ようとは!!
いつかおれが我慢しきれず言っちまって、おまえに散々文句言われる事になると思ってたのに。
しかもなんだその笑顔は!?
可愛すぎて色々ヤバイ!!
「おれ、目が覚めたらサンジがいなかったから、すげぇ不安になった」
まるでダメ押しするかのごとく、ぎゅっと抱きついてくるウソップ。
「お、おう、そうか。うん、それはおれがクソ悪かった」
なんだこれ!?
夢か!?天国か!!??
混乱しつつも幸せに浸っていたら、ウソップがおずおずと切り出した。
「あの、な、サンジ。ちょっと聞きたい事があるんだけど」
「ん?なんだ??」
「こいつら誰だっけ・・・??」
視線の先には、おれ以外の一味のメンバー全員。
みんなの戸惑いの意味が分かったと同時に、おれは呆然とするしかなかった。
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